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口説かれるコツは難しい。だれに口説かれてもよいのなら簡単だけれど、口説かれたくない男を選別しながら、自分の理想像に近い男性に確実に口説かれるための努力をしなければいけない。その第一原則は相手に知られることである。存在を認めぬ女を口説きようがない。次に相手の好みのタイプであること、デブが嫌いな男性に好かれようとしたら、山本寛斉デザインの衣装で身を飾るより、せっせと美容体操に励むことである。おしゃべりの嫌いな男性の前では鼻の穴から声が出そうになっても、じっと我慢する。
酒飲みの男がお好みならば酒を飲むけいこを始めればよい。オッパイをモミモミするのが生き甲斐の男を好きになれば、それも身の因果、いつでも自由に開放させてあげなければいけない。三番目に大事なことは親近感を持たせること。口説くというのは相手を身近に感じて初めて出来ることで、いくら竹下景子が好みだからといって、人間的交流がなければ口説きようがない。
男はアプローチする側だから、いくらでも親近感を持たせるようにすることが出来るが、される側の女の方はやはり努力がいる。親近感というのは簡単なことである。故郷が一緒、野球チームのひい気が一緒、名前が一緒、実に何でもないつまらないことから親近感が生まれる。こんなことに努力?と思うけれど目指す相手が阪神ファンなら、こちらもレギュラー選手の名前と背番号ぐらいは覚える努力が必要なのである。恋人との間に会話がはずむのは、そこに未来を語る二人の共通の会話が存在するからである。別離をする男女に会話が少ないのは同じ理屈による。
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昼の職場では気難しい人たちも、夜の家人には、その出方一つで何かの時には親代わりにも相談相手にもなってくれるのである。そんな男性と一夜を共にしたからといって、何かの見返りを要求したり望んだりすべきではない。むしろ感謝しなければいけない。素晴らしい男性と肌を接することは、女にとって最高の男学なのである。そういう意味で酒場は実験室である。女の幸福とは男こころを知ることにあるとすれば、ここで得た修業は将来の武器である。貴重な体験をした女ほど人生においてつまずく事は少ない。
馬鹿な女は常連客との一夜だけの交際を過大評価して騙されたとかつまずいたとか考える。こんなのはもののはずみである。どんなに健康に気をつけていても風邪をひいたり、下痢したりするのと同じで、水商売で生きている以上、あり勝ちなこと、無い方が余程おかしい。